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イム・キョンソンさんと『村上春樹のせいで』

 イム・キョンソンって誰ですか? 韓国の人気作家で、特に若い女性たちに人気があります。ラジオの人生相談が人気だったり、作家というのに留まらない活動をしている方です。幼いころに日本で暮らしていたり、東大への留学経験があったりと、日本とも関わりが深いです。日本語も堪能で、ツイッターでは日本語つぶやいていたりもします。韓国語に混ざってときどき日本語でつぶやくというのではなく、 日本語専用アカウント を彼女は持っています。 村上春樹の「せいで」ってどういうこと? 韓国語版の著者プロフィールに書かれていることなのですが、「なぜ作家になったのか?」という質問に対するの答えが「村上春樹のせいで」なのだそうです。ただし、本当はその答えを胸のうちに秘めて置きたいとも書かれています。 ちなみに『村上春樹のせいで』は日本語版だけのタイトルで、韓国語版タイトルは直訳すると「どこまでも個人的な」という意味になります。サブタイトルの「どこまでも自分のスタイルで生きていくこと」がオリジナルのタイトルの意味に近いです。 ハルキスト向けのマニアックな作品ですか? いいえ。むしろ「これまで村上春樹はちょっと苦手だったけど、この本を読んで偏見がなくなった」という感想が多いです。マニアをも唸らせるようなレアなエピソードが紹介されていたりもしますが、それだけに留まる作品ではありません。「最後の文章は感動して泣いちゃった」というような声をいただいております。 ぶっちゃけおもしろいですか? はい。僕も読んでて何回か感動して泣いちゃいました。出版の仕事をしているわけだから何回も読み直さないといけないんですけど、何度読み返しても飽きない作品です。自分で文章を書いたり、翻訳したりするうえでの心構えについても教わることが多かったです。創作活動に興味がある方には特にお勧めしたい本です。   とうとう私の手元に。本当に出たんだなと実感できた。<村上春樹のせいで>(渡辺奈緒子訳)をどうかよろしくお願いします📚👩🏻‍💻🙂 pic.twitter.com/nAO8m3ERDI — 林慶琁 イムキョンソン (@slowgoodbye_jpn) October 31, 2020

『村上春樹のせいで』が毎日新聞で紹介されました

『村上春樹のせいで』が毎日新聞に掲載されました。22日の朝刊11面です。ウェブサイトでは「完全版」も掲載されています。 https://mainichi.jp/articles/20201119/k00/00m/040/383000c 「主観的な(虚実入り交じった)叙述も含めて、世界的な「村上文学の読まれ方」のスタンダードは、今やこちらにあるのだという気がした」などと評されています。

『私の身に起きたこと』がAmazonで在庫切れの理由

 『私の身に起きたこと』がAmazonでずっと在庫切れになっています。いまは第一刷の在庫を売り尽くしてしまって、こちらにも在庫がないのですが、在庫がある頃からずっとAmazonに補充されていません。いったいなぜなのか? もしかしたら中国の妨害ではないのか? と心配する声すら上がってきています。 おそらく中国は関係ないです。10日ほど前に取次に問合せたところ、Amazonはオーダーを出していたけれども、それを弊社に伝えずにいたとのことでした。なぜ伝えられなかったのかについてはよく分かりません。なぜだかは分からないのですが、『沖ヨガ美療』を出したときも同じことが起きたし、『村上春樹のせいで』でも同じことが起きました。なぜ補充オーダーのミスがこんなにも連発するのか不可解ではありますが、以前にも起きたことなので、中国の介入ではなく、ただの業務上のミスなのだろうと推察します。 10日ほど前に上記の事柄が発覚して、100冊出荷しました。このときTwitterでAmazonにじきに入荷されますと告知したのですが、いつまで立っても「在庫あり」にならなかったのです。それでいろいろと心配する方が表れてきたので、また取次に問い合わせたところ、100冊仕入れたのだけれど、楽天ブックスからも注文があったから7割ほどを楽天ブックスに回してしまったとのことでした。 つまり、Amazonには30冊ほど補充したはずだけど、すぐに完売してしまったため、ずっと「在庫切れ」が続いているように見えるのだろうということです。 まあ、そういうこともあるのかもしれません。その後は、こちらの在庫が底をついてしまったため、補充オーダーがかからなかったようです。 また200冊オーダーをいただいたので、明日搬入する予定です。 第2刷も出来上がったので、これからは安定的に販売されることになることでしょう。もしこれでもダメだったら、それこそ何者かの陰謀かもしれません。

なぜ絵本?

 『私の身に起きたこと:とあるウイグル人女性の証言』は、なぜ絵本なのか? そういう質問を受けることがときどきあります。ウイグル人弾圧に関する本であり、必ずしも児童書ではないのに、なぜ絵本のような装丁になっているのか? それを疑問に思うのはもっともです。 絵本のような装丁にするということは、出版社が決めたことではなくて、著者の意向です。「絵本のようなかたちで作品を出版したいのだけれど、引き受けてくれませんか?」と打診が、清水ともみ先生からあったのです。こういう本を絵本のような装丁で出すというのは、出版業界ではほとんど前例がないだろうと思います。そのせいか、他の出版社にはすべて断られてしまったそうで、最後に僕のところに話がきました。最初は僕も戸惑いましたが、実際に出版してみて、このかたちは正解だったと思っています。 絵本にすることで、多くの情報を詰め込んだり難しい分析を行う本ではなく、感情に強く訴えかける本になったと思います。清水ともみ先生はウイグル人の証言をいくつか漫画に描いていますが、その中からあえてひとつだけを載せたのも、それが感情にもっとも強く訴えるからです。 また、絵本というのは、シェアされやすいことにも気づきました。「薄いからちょっと読んでみよう」という感覚で、そこらへんに置かれた本が、いろんな人に読まれていくのです。分厚い本だったら、なかなかそうはいきません。 『私の身に起きたこと』は、絵本という形態の持つメリットを、子供向けの絵本以上に活かしているような気さえ最近はしています。

書店営業しています

 昨年出版したのは、インド人の怪しい宗教家の講話を自分で翻訳した本で、これを持って書店営業を回るのは、なんか恥ずかしくてほとんど何もしませんでした。しかし、先月出した『私の身に起きたこと:とあるウイグル人女性の証言』は、ウイグル人の人権に関わる重大な問題を扱った本なので、直接書店営業をしています。 アポ無しで書店を回るため書籍仕入れの担当者に会えたり会えなかったりで、営業というのはなかなか大変ですが、効率を考えずに足で回れるところは回ろうという方針でやってます。書店の店員さんにとっては、めんどうが増えるだけではないかと心配でもありますが、ネットでは売れている本なので、とりあえずは本の存在を知って検討していただこうということです。 返品を受け入れているので、書店には比較的置いてもらいやすいはずです。第2刷からは、置いてもらえる書店が今よりもいくらか増える見込みです。