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『フリーダム』本文より抜粋

【本文より抜粋】 この本によって、ここ数年で僕の愛する香港に何が起きたのか伝えたい。これは僕にとって、中国共産党が忘却させようとしているものを記憶するための闘いである。同時にこの本の中で、自由が至るところで脅かされていることを示し、手遅れになる前に自分たちの自由を守るにはどうすればよいのかということについても書き記しておきたい。 香港は、世界で最も厳しく抑圧されている都市ではないかもしれないが、豊かで自由で開かれた活気ある社会が、いかにして蝕まれるのかを示す先例として特に重要である。香港は自由世界にとって、炭鉱のカナリアなのだ。 「香港に自由を(Free Hong Kong)」と口にすることは今や重大な刑事犯罪なのだ。 驚異的な経済成長の軌跡に伴って、中国の傲慢さが増していくのを僕たちは目撃した。より善い中国を望み、積極的に関与すればもっと融和的な体制になると期待していた人たちは、それが間違いであったことを受け入れる必要がある。中国が超国家主義的な全体主義国家になりつつあるということ、もしかすると既にそうなっているということを、僕たちは認めなくてはいけない。 同じ理想を共有する民主主義諸国が協調しなければ、中国は、その国家規模をもって個々の国に狙いを定め、自国の衛星軌道に乗せることができる。……僕たちには、同盟国や友人たちと肩を並べて立ち、友人への攻撃は僕たち全員への攻撃だと見なす道徳的責任がある。強硬的かつ、明確な対象を持った集団行動をためらってはいけない。 「政治に関わりさえしなければ何も問題ない。いままで通りで大丈夫」と主張する人は大勢いる。香港でビジネスや投資に関わる人の多くは、こういうセリフを言いたがる。だが、政治に関わらずにいられるのは、自由社会の贅沢なのだ。中国共産党の下では、何が政治的で何が政治的でないかの境界線は一夜にして変わってしまう。このことは、中国で最も成功したビジネスリーダーの多くが、思い知らされている通りである。 国際的なブランドも標的にされている。……多くのブランドは、基本的人権を支持することと、中国に媚びることの間には道などないのだということを、まだ理解していない。……虚言の宣伝に喜んで協力しない企業は、中国で金を儲けるべきではないというのが北京の考えである。 僕たちは誠実に、建設的に、中国を批判するべきだ。 中国の人々に向けて真実...

『フリーダム』訳者あとがき

【訳者あとがき】  本書は二〇二一年にイギリスで出版された『Freedom: How We Lose It and How We Fight Back』の全訳である。  本書には二人の著者がいる。羅冠聡(ネイサン・ロー: Nathan Law)氏と、方禮倫(エヴァン・ファウラー:Evan Fowler)氏の二人であるが、本書で使われる一人称の「僕」は、一貫して羅冠聡氏のことを指している。主な著者は羅冠聡氏であり、共著者の方禮倫氏はサポート役に徹していたことが伺われる。方禮倫氏は、香港・中国問題を専門とするジャーナリストで、香港自由新聞(Hong Kong Free Press)の共同設立者の一人である。立場新聞のコラムニストでもあった。また、立場新聞の前身の主場新聞においては、コラムニストだけでなく顧問も務めていた。  筆頭著者の羅冠聡氏(香港では「羅冠聰」と表記されるが、日本の新聞などでは「羅冠聡」と表記されることが多いのでこちらに統一したい)は、二〇一四年の雨傘運動を率いた学生リーダーの一人である。その後二〇一六年に、黄之鋒氏や周庭氏らと共に、デモシストという政党をつくった。党首を務めていたのが羅冠聡氏である。同年、香港史上最年少の立法会議員に当選する。だが、政治的弾圧のために議員資格を剥奪され、さらには雨傘運動を指導したことで二〇一七年に投獄されることになった。二〇一九年のデモは、リーダー不在の分散型の抗議運動だったので羅冠聡氏が率いたというわけではないが、国際的な提言活動によって、アメリカ議会で「香港人権・民主主義法」を可決に導くなどの成果をあげた。二〇二〇年、国家安全維持法による弾圧から逃れイギリスに政治亡命する。同年、タイム誌の「世界で最も影響力のある一〇〇人」に選出されている。ノーベル平和賞にも毎年のようにノミネートされている。  本書は、羅冠聡氏がイギリスへの政治亡命後に、英語で書いた最初の本である。二〇一八年に香港で『青春無悔過書』という本を出版しているが、この最初の著作は国安法の影響のため現在は禁書扱いとなっており、日本語訳も出版されていない。羅冠聡氏の著作として日本語で読めるのは、本書『フリーダム』が最初の本である。  本の構成についてであるが、まず、各章を時系列によって貫く流れがあることに注意を促しておきたい。少し具体的に述べておこう。 第一...

聖教新聞に『フリーダム』の広告掲載を断られました

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聖教新聞に『フリーダム』の広告掲載を申し込んだところ断られてしまいました。創価学会は中国と密接な関係にあるため、中国を批判する本の広告は掲載できないとのことでした。 著者の羅冠聡さんは、香港返還の際に約束された民主化を求めていただけの比較的穏健な主張の持ち主です。それでもお金を払って広告を掲載することさえ断られました。創価学会は中国でも活動を行っているため、中国共産党の機嫌を損ねるようなことはできないということでしょう。 しかし、信者を増やすために中国の独裁政権と結託する道を創価学会が選んだことは、「万人の幸福」と「世界の平和」を目指すという自らの理念を裏切るものだと指摘しなくてはなりません。香港だけでなく、ウイグル、チベット、南モンゴルなどでの人権侵害を黙認したまま、仏法を正しく伝えることなどできるはずがありません。 創価学会が支持母体となっている公明党がこれまで中国の人権侵害に対する非難決議を骨抜きにしてきたのも、中国に媚びていただけであったことが、これで再確認できました。 掲載したかったのは次のような広告です。引用している文章は感慨深いものがあると思います。「自由な祖国を見たいと願う人々とも交流してみてはどうだろうか? 中国と関わり合うこと自体が、反体制派の排除や、自分たちの側の批判のトーンを弱めたり沈黙したりすることへの暗黙的同意を意味する日々は、終わらせなくてはならない」 断られてしまったことはどうにもならないので、聖教新聞以外の媒体に広告を掲載したいと思いますが、まだどの媒体にするか決めていません。

街頭で『フリーダム』を朗読しました

街頭での活動をどういう形態で行うかしばらく考えていたのですが、ギターを弾きながら『フリーダム』の序文を朗読するという形態にしました。今日、初めて大通りの交差点でギターをジャカジャカ鳴らしながら大声で朗読を行いました。まだあまり形が定まっていないというか、パフォーマンスとして完成度が低いです。場数を踏みながら完成度を上げていきたいと思います。 ギターは難しいことは行わずに、同じコード進行を同じリズムでひたすら刻んでいるだけです。拡声器とかアンプは使わずに生音で演ろうと思います。本の販売は行っていません。