沖ヨガ美療
醜さの原因を治し美しさを回復する
沖正弘 著
本体1500円+税 ISBN978-4-87369-100-8
2018年7月発売 四六版並製 248ページ
【著者紹介】
沖 正弘(おき まさひろ)
1919 -
1985年。沖ヨガの創始者。「生命即神」と説く求道的で総合的な沖ヨガは、日本のみならず世界に影響を与えた。著書に『ヨガの喜び』(光文社)、『沖ヨガ美療』(季節社)など。
【本文より抜粋】
ほんとうの美しさを求めて
ヨガとは、もともと統一、調和、安定の意味をもつインド語で、世界で一番古い修行法の哲学です。
私がヨガの修行を志したのも、ヨガによって悟りの人になられたとされている、シャカムニブッダ(ムニとはヨガ修行者)の悟りへの道を学びたいということからでした。
ヨガは悟りを体得し、実行する事に必要な修養法と修行法を総合的に説いているもので、体の訓練(行)を伴った哲学であることが一大特色です。しかし、体の面への効果が大きくかつ学びやすいために、一般には、この効果にむすびつけて、あたかも健康法か治療法か美容法の一種であるかのように商業的に広められています。
今、世界的にそのようなものにヨガの名をつけてブームとなっていますが、ヨガはあくまで心の修養のためのものであり、総合的かつ自然的な理論と方法でない限りヨガとは言えません。ヨガは体だけのもの、心だけのものといった、部分的なものではないのです。
私の説くヨガが、求道的かつ総合的であるために、人々が沖ヨガの名をつけて他の非ヨガ的なものと区別しはじめたのですが(私がつけた名称ではありません)、求道総合ヨガと言うのが本当です。
さて、本来、治療法でも美容法でもないのに、なぜヨガ(たとえ部分的ヨガでも)の実行で、都合の悪いところがよく治り本当の美しさになるのでしょうか。それはヨガが、統一性、調和性、安定性、すなわち自然性を高めるものであり、その実践によって自然性維持回復能力が高まり、不自然性の産物である、痴、醜さ、迷いがなくなっていくからです。
私がヨガを美容に応用する方法を説きはじめたきっかけは、一九五八年、ファッションモデルと美容師の会でその指導を頼まれたことからです。当時、私にとってそれは未知の世界であったために、大いに興味をもち、頼まれては、数多くのミス◯◯までつくりだしました。
各種各様の美容法なるものに、日本はもちろん、欧米でも接したのですが、それらの間違いがあまりにも多いことに気づきました。その後も数多くの出版社から、美容の本をと頼まれましたが、求道の心がそれを許さず、一切お断りして二十年たちます。
それなら、なぜ今回美療の入門書を出す心になったのかと言いますと、次の二つの理由からです。
一つは、総合ヨガの立場から、美療法という一部門を作ること、もう一つは本来は宗教的哲学であるヨガが、現在のブームと商業イズムに便乗して、他の美容法や治療法と同じあやまちを犯し、それが広がっており、それを正す必要があると感じたことです。それも大半は、私の弟子達が犯しているのです。社会にあやまる心とあやまりを正す願いからの出版であることをご承知下さい。
美容法と言われているもので、どういう美があやまっているのかを簡潔に記してみます。
健康な生活の工夫をし、心身ともに健やかではれやかな自然的な生き方をしていれば、誰でもそのままで美しいはずです。しかし皮膚が汚ないとか、肥満しているとか、本来の美しさをそこなっているのは、それをつくり出す根本的な原因があるからです。この種の人は、美を求めるより異常を治すことが先決です。
しかし、いわゆる多くの美容法は、この重大な事実をぬきにして、外形の美しさのみを求め、異常のあるままに無理に全体をやせさせたり、かたよった食事で減量させたりしています。これが危険でなくて何でしょうか。この点に私は気づいたのです。
そうして、美容法と治療法と求道法を一つにしたもの、すなわち異常が治り、健康になることによる美容法として美療法をあみだしたのです。さらに、全生活を通じて総合的に行うべきであり、かつ個性的であり、求道的なるべしと、「ヨガ美療」の名をつけたのです。
このことを最初に公に発表したのは一九六五年、毎日テレビの依頼で、半年間放映したときで、そこでは「ヨガの調和の原理にもとづいて美容法と医療法と修正法を総合したものである」と説明しました。その後、要請にもとづいて、ヨガ美療のための協会と学会をつくり、その講習を開き、受講者中の何人かは教室を開いています。(国際ヨガ美療学会の名称は政府に登録してあります)
私は最後に、心身に異常があるために美をそこねている人にひとこと申し上げたいと思います。それはヨガ美療法を行うことによって本来の美を回復する場合が多いのですから、悲観することもなく、信頼をもって実践していただきたいということです。
私には、このヨガ美療応用による数多くの忘れがたい思い出があります。不治とされている、全身白なまずの女性数人を救ったのがはじめです。
その後カバーマークの社長が会員になり、その縁で、大きな赤あざ、青あざの女性を救いました。この原理は、アトピー性皮膚病と子宮筋腫の治り方からそのヒントを得たのです。内臓、神経、ホルモン、血液を改造し、悪癖を修正すると自然に治っていくのです。またAの刺激で生じたものは、Bの刺激では存在できなくなり、消失してしまいます。
ヨガの修正法を行うと、毛深い人はうすくなり、うすい人は生えてきます。
欧米では、私の指導による体質改造で、ソバカスの消えた女性が多くいます。また修正法を行うと、生理異常やつわりはもちろん、流産や逆児も短い期間で是正できました。これらの事から得たヒントであみだしたのが沖ヨガ式自然(無痛)分娩法であり(二、三十分での安産)、出産美容法です。
女性には一生を通じて肉体面で大きな変化があります。すなわち生理・妊娠・閉経など、男性から見ると想像もつかないような生理的に大きな刺激を自らに課しているのです。多くの女性は、初潮があったとき、また月々の体の変化、結婚と妊娠、そして出産、やがて閉経と共に訪れる更年期障害など、そのたびごとに生理的な変化を身をもって感じておられることでしょう。生理的な変化が人生そのものを形づくっていくと言っても過言ではありません。
女性にとって必ず起こってくるこの変化を上手に活用したならば、あなたは必ず健康になれ、美しさを手にすることができるのです。物事の変革期というものは、活用の仕方でプラスにもなればマイナスにもなります。女性としての幸福な人生をおくれるかどうかの別れ道であり、また絶好のチャンスであることを肝に銘じて下さい。
一番面白い事は、指導している私でさえ驚くことですが、美療法によって痩身法を行うと、誰でも一時間以内に一キロ以上体重が減ることです。身長も二、三センチは伸びます。先日、頼まれて静岡のテレビで四人の一般応募者にこの実験の公開をしてもらいましたが、全員日常生活をつづけながら、二十日で十キロ内外の体重を減らしました。このように体重を減らすことなどはむずかしいことではありません。しかし減ったことがすなわち、よいことではありません。異常部を治さず、その原因をのぞく生活も行わずでは、病人をつくるようなものです。
もしあなたに異常がある場合は、ヨガ美療を学んで、病因を修正し、健康度を促進し、特に精神修養を中心にして、個性の開発された本当の意味の人間的美人になられることを深く望みます。
昭和五四年五月
沖正弘
【目次】
ほんとうの美しさを求めて
1章 美しい心とからだ
1 自然、調和、美
2 肥満とは何か
3 皮膚について
2章 生活の中の簡単な体操
1 心身をコントロールする
2 ヨガを生活に
3章 自己診断
1 生活でみる自己診断
2 体でみる自己診断
3 呼吸による自己診断
4章 ヨガ美療実践
1 あなたを美しくするヨガ
2 あなたの悩みを解消するヨガ
3 ヨガと生活
4 ヨガと妊娠、出産
(付) 女性の美しさについてのQ&A
復刊に際して
* ご注文はオンライン書店もしくは全国の書店でお願いします。
⧉ Amazon / ⧉ 楽天ブックス